富士登山(御殿場ルート)で経験した限界の一歩手前_Vol.4

こんにちは。
山本です。

頂上までもう少しです。引き続きお付き合い下さいませ。

足場は岩場

『赤石八合館』(標高3290m)以降の山道は結構な岩場。

足場は岩場

「ぜぇ〜ぜぇ〜」言いながら登りづけること30分弱で

【24:20】
八合目_頂上まで1時間

との看板が。やることないし、寒いからと登り続けておりましたが、さすがにこのペースでは山頂に早く着きすぎる。ちょっとペースを落としながら、休憩を取りながらと、岩場に腰をかけ休んでいたところで、後ろから2つの灯り(ヘッドライトの光)が近づいてきます。

一応僕はすれ違う人には必ず「こんにちは」「こんばんは」と声をかけながら登っていたのですが、この2人が近づいてきたとき少し違和感がありました。

その違和感とは、、、

「この2人、ストック持ってないじゃん」

上には上がいる。七分袖で登山をする15歳の少年

もちろん、ストックが必須というわけではありません。ただVol.2でもお伝えしたとおり、僕はストックの凄さを実感していたわけですし、僕がここまですれ違った登山者はほぼストックないし金剛杖をつかって登っていましたから。

ということで、不思議と挨拶以外の言葉を話しかけてしまいました。

僕:
「こんばんは」

2人組:
「こんばんは」

僕:
「ストックなくて凄いですね?」

2人組み:
「いやーお金ないんで(笑)」

僕:
「どこから来たんですか?」

2人組み:
「東京の○○(東京都下にあるとある市)です」

僕:
「まじでっ!僕の実家そこです!」

2人組み:
「ええーっ!本当ですか?」

(しばらく地元話で盛り上がる)

2人組み:
「ここまでチャリで来ました。

 富士山が終わったら西沢渓谷に行って、
 そのまま八海山(新潟県)に向かう予定です」

僕:
「チャリ?マジで?寝床は?」

この2人組は15歳の高校1年生。夏休みを利用しての12日間チャリ旅中とのこと。予算は1万円(1食300円)、寝床はテント、風呂はそこら辺の川で済まし、コンビニで売っている一斤パンを主食として旅をしている。

・・・なかなかの15歳でしょ?

でも、そんなチャリ旅よりも僕を一番驚かせたのは・・・

七分袖のジャージ。

七分袖ジャージのO君

そして、もう一人の子(右の子)は見てすぐにわかる薄着のジャージ

富士山頂付近で出会った15歳の2人組

(左がO君で、右がT君)

これを見た瞬間、僕は思わず

「お前らバカだなぁ〜」

と言わずにはいられませんでした(笑)。

雨具に防寒機能があると誤解し後悔していた僕をあざ笑うかのように、それを上回る圧倒的な存在。

フリーザ様を見たときの圧倒的な恐怖、

武井 壮を見たときの圧倒的な降伏、

レオナルド・ダ・ヴィンチの『音楽家の肖像』を見たときの圧倒的な美、

それに勝るとも劣らないこの圧倒的なバカさ加減。僕の思考のフレームを一つ壊してくれた15歳に感謝です。

話をしていたら・・・

僕のフレームを壊す素敵な出会いをしたわけですが、フレームは壊れても寒いものは寒い。

実際、O君も寒いらしく(当たり前ですけど。笑)高山病ぎみのT君が休みたがるところ、とまると寒いからということで登り続けていたようです。

その後、O君とT君とは思いのほか意気投合してしまい、自然と行動を共に。そして、話しながら登っていたらいつの間にか「あれ?これって頂上じゃない?」

【25:53】
御殿場ルート山頂

僕の初富士登山はこんな感じで山頂に到着したのであります。



途中、O君T君とかなり話をしましたので、少しは時間を稼げた感じ。

睡眠時間2時間という不安もありましたが、約8時間で登頂できたわけです。

あとは寒さをどうするか・・・

限界の一歩手前

さて。

3人で登頂したはいいけれど、御来光まで約3時間。

登ったことにより少しは身体が温まっているとはいえ、やっぱり寒い。。。

どうしようかと、とりあえず山頂を散策。

富士山頂郵便局
「へぇー郵便局あるんだあ〜」・・・でも寒いよね。

頂上富士館
「そりゃやってないよね」・・・にしても寒いよね。

頂上浅間大社奥宮1

頂上浅間大社奥宮2
「神頼みでもしようか」・・・寒さで死んじゃいそうだけど。



・・・話をしていないと寒さが襲ってくるので、O君が持っていたこちらのキャンプグッツで水を沸かし

山頂で湯を沸かす

白湯を飲みながら日曜日の午後にカフェでお茶をする女子並みに話すこと約2時間。僕はO君とずっとしゃべっておりましたが、T君はほぼしゃべらず。「死んじゃってるんじゃないの?」と心配するくらいの冬眠状態が続きます。

そんな楽しさより寒さが勝るカフェ談笑がしばらく続いたのですが、いい加減気持ちも萎えてきたところで、、、

「明けない夜はない」

ようやく、ようやく、ちょっとだけ空が明るんできました。

ようやく空に明るみが・・・

ただ、僕は寒さを通り越して関節が痛くなる症状に教われ、震えで写真もまともに撮れない状態に。さすがの七分袖O君も辛そうです。

でも面白いことに、若いからなのか、寝たからなのか、単にバカなのかはわかりませんが(笑)、冬眠から醒めたT君は元気いっぱいです。

「僕が撮りますよ」と、パシャパシャ。

富士山頂_御来光間近

世界人類が平和でありますように

僕は、元気なT君を励みに、「まだまだ俺の限界は先にある」と言い聞かせていました。

言い聞かせてはいたのですが・・・

初日の出を見たことある人は共感してくれると思いますが、空が明るくなってから実際に太陽が出るまでってかなり長いですよね?

この太陽のシャイさ加減が、僕をかなり追い込みます。

「まだかよ・・・まだかよ・・・」と、寒さの中、強風に身体を揺らされながら、僕とO君の寒さは限界に。

僕:
「・・・この寒さ一生の思い出になるね。。。)

O君:
「・・・はい。」

僕:
「もうあそこまで見えてるんだから、、、御来光だよね・・・?」

御来光・・・?

O君:
「・・・御来光です。」

僕:
「じゃ、あれが御来光ってことでいいと思うんだ。」

「僕らは頑張ったよ。」

O君:
「・・・はい、僕も限界です。トイレに行きたいです、、、」

と、元気なT君を一人残し、僕とO君は頂上富士館に向かったのであります。

The other side of the limit. -限界の向こう側-

をテーマにここ数ヶ月生活していましたが、まさか富士登山で山を登ることによってではなく、寒さでこれを垣間みれるとは思いませんでした。

ただ「限界の一歩手前」と題した通り、正直限界を超えた実感はありません。

気とか失ってませんからね(笑)。

でも、自分で決めた行動で、極限まで頑張れた感はあります。

もちろん満足はしていないけど、「あのとき、あの寒さに極限まで耐えられたのだから、これくらい頑張れる」と。



僕は自分のことを要領のいい人間だと思っています。

・100%頑張らなくても、平均点以上とってしまう。

・100%頑張らなくても、なんとなくやりこなせてしまう。

・100%頑張らなくても、皆が認めてくれる。

そんな自分が嫌でしょうがなかった。

自分に嘘をついている感じがして、そして、それがいつかバレるんじゃないかといつも怯えていた。

要領がいいが故に、困難から逃げる術を知ってしまった自分を更新したかった。

なぜ富士山を登ろうと思ったのかは今でもよくはわからないけど、そんな想いが僕を富士山に向かわせ、そして、限界の一歩手前を経験させてくれたのかもしれない。

会社を辞めて、実家を出て、収入の道を断ったことも、人からは無謀な生き方に見えるかもしれないけれど、僕の実感としてはあくまで「結果」であって、無理してそういう生き方を選択した感はもちろんない。

敢えて理屈で説明すれば、「The other side of the limit. (限界の向こう側)を見てみたいから」とかっこつけて言うことになるのだろうか。



僕は無理をして生きるつもりはない。

まずは自然体に自分の気持ちに素直にしたがって、そして、The other side of the limit. (限界の向こう側)を見るために頑張り続けようと思う。

富士山にまた登りたくなったら登るし、筋トレをしたくなったらする、こうやって文章を書きたくなったら全力で書く、これでいいかなあーって。

富士登山を経験して約半月。

こんな想いでこの記事を書いております。

The other side of the limit.

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