なんちゃって人生論【001】同じ仕事、異なる給料
あなたは、仕事において、
「やった分だけの報酬は欲しい」
と思いますか?
こんにちは、山本です。
金木犀の香り漂う季節のとある平日、野暮用で電車に乗り「日が落ちるのが早くなったなあ」なんて考えながらぼんやりと車窓を眺めていたら、隣に立っていた20代後半サラリーマンらしき二人組の男性からこんな話が聞こえてきました。
「同じ仕事をしてるのに給料が違うって嫌になるよな・・・」
「須永さん(※仮名)はいいポジションだよ。
同じグループなのに、こういう時(※たぶん、面倒な仕事だと思われる)は決まって俺らだからな。
あの人は仕事できないってことに甘えてるし、それを許す上(上司or会社)にも納得いかないよな。
それで俺らより給料がいい須永さんってなんなの?なんであれでOKなの?」
(後はエンドレスで愚痴が続くので、省略)
「なつかしいな」
僕はふと、こんな感情を抱きました。
というのも、僕が以前働いていた会社では、人それぞれの文脈は違えど、ご飯の前の「いただきます」かのように、毎日この手の愚痴を聞かなかったことがありませんでしたから。
もちろん、僕自身元サラリーマンですから「うんうん、わかるよその気持ち」と共感できる部分も多少はあります。
でもその反面、「しょうがないよね、そういう会社(社会)を自分で選んで居るんだから」とも思うのです。
思うのですが、多分これを一番わかっているのが愚痴を言っている本人(達)なんだと思います。
「会社は社員があってこそ」なんてのは単なるスローガンで、結局社員ってのは歯車でしかない。
もちろん、その歯車に多少のあそびは許されていますが、足を動かす歯車がある日突然「俺さ、足を動かしたくない。本当は腕を動かす歯車になりたいんだ!だから今日から俺は腕を動かす!」と勝手に振る舞ったら身体(会社)が成り立ちませんから。
「お前は足を動かしなさい」と身体(会社)に命令されたらそれを全うする。
それを一般的には“仕事”と言うけれど、そんな“仕事”における報酬は、当たり前ですが会社が決めます。
大きな会社になればなるほど全てにおいて明確に規則が設定されているけれど、所詮、不完全な人間が作った規則ですから完璧であるはずはなく、多分大方の人にとってそれらの規則は理不尽なものになることが多いのだと思います。
だからこそ、冒頭の二人組サラリーマンのような愚痴(「自分と同じ足を動かす歯車なのに報酬が違う須永さん」的な愚痴ね)が、どんな業界からも満遍なく聞くことができのです。
で、この内なる声を言葉にすれば、
「俺はやった分だけの報酬が欲しいんだ!」
なんだと思います。
こんな言い方をすると誤解をされる方がいらっしゃるかもしれませんので、一応言っておきますが、報酬を得るのは当たり前で悪いことでもなんでもありません。ボランティアで働いている訳じゃないですからね。
ただここで一つ考えたいのが、
「皆がそう思っている」
という点なんです。
皆がみんな「俺に見合った報酬をくれ!」と思っている。
お金が無限にあるような会社ならそれでもいいのですが、当然そんな会社はあるわけがなく、無い袖は振れない。
つまり【全体の総量】は決まっている。
これが何を意味するかわかりますか?
・・・奪い合い。
“奪い合い“って言葉に違和感があるかもしれませんが、例えば同僚に自分の給料明細を見せないのだって、結局は“奪い合い”って感覚が多少はあるからなのだと思います。
そして、この“奪い合い”を一歩進めて考えてみると、ある矛盾に突き当たります。
どんな矛盾かと言いますと、、、
「俺に見合った報酬をくれ!」ってことは、「報酬が(今より)高ければ、そこに幸せがある」って感覚があるかと思うのですが、その報酬は“奪い合い”なわけで、言葉通り
「誰かから奪わなければならない」
わけです。
「あっしは旦那のためなら、あっしの報酬が減っても構いませんですぜ、旦那、ヒィヒィヒィ」的な人がいないとも言い切れませんが、ほぼいない。
でも自分の幸せのためには誰かから奪わなくてはいけない。
じゃあ、誰から奪おうか?
いや待てよ。
全ての人が「俺に見合った報酬をくれ!」と思っているってことは、他者も私の報酬を奪いにくる。
私の幸せは報酬が増えること、つまりそれは他者から奪うことなのに、他者も私から報酬を奪おうとしている。
仮に運良く今回は報酬を奪えたとしても、次回も上手くいくとは限らない。
その次は、その次は、、、
・・・・・はて、私の幸せは一生叶わないのでは?
先程僕は、愚痴を言うサラリーマン本人達は「わかっている」と言いましたが、それは、この矛盾があることに気づいている、けれど、それに目を向けるのが怖い(もしくは痛い)から愚痴と言う一時の鎮痛薬に手を出してるのです。
鎮痛薬は怖いですよ。
ほぼ麻薬ですから。
あなたは、そんな麻薬に手を付けずに、幸せを考える覚悟はありますか?
ここまでお読み頂きありがとうございました。
また次回よろしくお願いします。
山本