美しい靴は人生に必要である。
こんにちは。
山本です。
今年も桜が咲き始めてまいりましたがいかがお過ごしでしょうか。
僕は花粉症の辛さから外出拒絶反応が出るのと同時に、でも桜のあの「切なさ」を実際に見て色々と考えたいという衝動にかられる今日この頃です(なんのこっちゃわかりませんね。笑)。
さて本日は、昨年発売の雑誌『PEN』「1冊まるごと、美しい靴。」というタイトルを見て即買いしてしまったあなたの為に靴に関することを書いてみました。
↓
いわゆる「お値段が高い靴」に少しでも興味があれば読んでみて下さい。
ではではいってみましょう!
「素敵な靴は素敵な場所に連れて行ってくれる。」の落とし穴
あなたは
素敵な靴は素敵な場所に連れて行ってくれる。
という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
うっすらとした記憶なのですが、ちょっと前に流行った『花より男子』でもこの表現が使われているシーンがあったかと思います。
僕自身この言葉がすごく好きで、そして、その通りだなと思っているのですが、ちょっと誤解してしまう人もいるのかなと。
その誤解とは、靴が主役だと考えてしまうことです。
特に男性に多いのですが、
・コレクション魂に火がついたように靴だけにこだわり靴収集が目的となってしまう人
・歩いていても自分の靴ばかり見てしまう人
・他人の靴と自分の靴を比較して優越感に浸ってしまう人
であれば、それは主役が靴となってしまっている状態です。
僕がここであなたにお伝えしたいのは、あくまで、
- 主役は「靴を履く人(=あなた)」
であることを忘れないで下さい、ということです。
よい靴を履けば履くほど、この視点を忘れがちですのでご注意下さいませ。
JOHN LOBBを高いと考えてしまう「常識」を疑う。
高級靴の中でも一番有名であろうジョン・ロブ(JOHN LOBB) 。
エルメス傘下であるジョン・ロブとロンドンのオリジナル ジョン・ロブ(John Lobb)は全く別ものと考えたとしても、靴好きなら一度は頭をよぎるシューブランドであることを否定はできないでしょう。
ただし、値段もそれ相応です。エルメス傘下のジョン・ロブの平均価格帯は20万前後でしょうか。安くても16万程度はします(この価格帯ですとプレステージラインではないので、シューツリーがつきません。そのため、なんだかんだで18万くらいにはなるのかな)。
この価格をどう考えるかです。
今の時代当たり前ですが、ジョン・ロブに興味を持ったら次にする事はネットでの価格調査です。
そこでジョン・ロブ価格の内外差に驚き(ジョン・ロブだけに限った話ではないのですが)、少しでも安く手に入らないかを探りネットを徘徊する。
まー確かに、同じ靴なのに関税やら輸入諸費用やら小売店のマージン、ブランド戦略諸々で、国によっては倍以上の価格になってますから、なんとなく納得いかないのも頷けます。
ただここで1回立ち止まって考えたいのは、
- なぜ20万円の靴を高いと感じてしまうのか?
です。
僕らは今でこそ当たり前に靴を履いていますが、ご存知の通り日本人の靴の歴史なんて100年ちょっとなわけで、靴を履き脱ぎする民族である日本人が靴自体に価値を見いだせないのはしょうがないのかもしれません。
そしてそれは、
小学生の頃は上履きを毎週持ち帰り洗っていたが、中学生になるにつれ「少し汚れていたほうがかっこいい」という空気に流され、高校の時はローファーのかかとをつぶして履き、社会人になってからは、シューフォーン(靴べら)を使わずに靴を履き、会社内にいるときはサンダルに履き替える
という人が多い事実、そして、男性・女性関係なく価値観は今まで生きてきた過程からできるものですから、そりゃー靴に価値を置かない人が量産されても不思議はないわけです。
そして、この常識(フレーム)で考えてしまえば、誰がどう考えたって20万円の靴は高いですよ。
合わせてこんなご時世です。
給料の1ヶ月分を靴に支払うのなら、将来の先行きを心配して貯金する人がいることを僕は否定できません。
だたそれでも僕は敢えて言いたい。
- その常識こそ僕らの敵である
と。
冒頭にお伝えした「主役はあなた」ということを忘れてはいけません。
5万円の靴だろうと、20万円の靴だろうと、60万円の靴だろうと、主役はあなたで、靴はあなたを引き立たせる脇役(小道具)にすぎないのです。
決して20万円の靴が主役ではありません。
ジョン・ロブを履いているあなたが主役であり、ジョン・ロブはあなたを引き立たせる脇役(小道具)です。
あなたが理想とする世界にジョン・ロブが必要であると考えるなら、その小道具が例え20万円だとしても買うべきだと僕は思います。
決して「靴(小道具)に20万円!そんなの払えるかよ!」と、敵に惑わされてはいけません。
だってその小道具は主人公であるあなたを「素敵な場所に連れて行ってくれる」のだから。
「最初に投資すべきは靴である」が指し示す本当の意味
僕の友人の母親に靴好きの人がいます。
彼女は若い頃、ヨーロッパにバレエ留学をした経験があり、ヨーロッパ文化に若くから触れた影響なのかなんなのかはわかりませんが、「あなたはイメルダ夫人ですか?」と聞きたくなるくらい靴を所有しているのだけど(笑)、そんな彼女がこんなことを言っていました。
- 「美しい靴を履いているときは背筋が伸びる」
この感覚。「うんうん」と頷いてしまいました。
僕の場合で言えば、初めて買った高級靴はジョン・ロブの「シティⅡ(City Ⅱ)」なのだけど、これを履いているときは自然と背筋が伸び、歩き方にも気を使っていることに気がつきます。
これは単に「高い靴だから傷をつけたくない」という心情と思っていたのですが、もちろんそういった思いがあるのは確かなのですが、最近はちょっと違う側面にも気づけるようになりました。
それは
- ジョン・ロブに見合った主人公となる
べく自然と背筋が伸びているのだと。そしてこれは同時に
- 主人公を引き立たせる名脇役(小道具)である靴が、主人公のステージを自然と上げてくれている
とも言い換えられる。
そしてもっと突っ込んで言ってしまえば、
- 脇役である靴が主人公であるあなたに「あなたは僕を履くに値する人ですか?」と問いかけてくる
感覚です。
「脇役のくせになにを偉そうに!」
と思ってはいけません。脇役はあなたを主人公たらしめてくれるものですから、大切なパートナーとして歩んで行かなくてはいけない存在なのです。
「最初に投資すべきは靴である」は結局のところ前項同様に、主人公はあなたで、脇役(小道具)が靴、そして靴に価値を見いだせない常識が敵であるということを気づかせるきっかけとなる言葉だと僕は考えます。
- 主人公 : あなた
- 脇役 : 靴
- 敵 : 靴に価値をみない常識
「美しい靴」とは。
先程の友人のお母さんはこんなことも言っていました。
- 「靴は置いてある姿にも美しさがなくちゃダメ!」
彼女の人生は波瀾万丈でここでその人生を書いたら「本ができあがりました」になってしまうので割愛しますが(僕の知る限りで住む家がなくなるという経験を4回はしています)、そんな彼女に対する僕のイメージはここ20年変わらずで、
・いつも笑顔が素敵なおばさま
です。本人は嫌がっているけど周囲からは「鉄の女」とか「ジャンヌ・ダルク」とか言われていて、普通の人が経験したら立ち直れないのでは?と思うようなことも笑い話にしてしまうくらいな人なのです。
昔は「単にそんな性格の人なんだろう」と考えていましたが、年を経るにつれ「僕だったらちょっと笑い話にはできないな・・・」と考えるようになり、「なんで彼女はこんなに強いんだろ?」という疑問を持ち続けながら接していたある日に先程の
- 「靴は置いてある姿にも美しさがなくちゃダメ!」
という発言でした。
「あー」って納得しましたね。何のことはない
- 彼女の人生には「美しさ」がたくさんある。
だからどんな人生でも楽しく過ごすことができているのだと。
靴はそんな彼女にとって「美しさ」の一つなのです。
(彼女にとって一番の「美しさ」は2人の子供です。それは親であれば当たり前なのかもしれませんが)
「美しさ」という表現は主観的なものなので、「美しさとはこういうものです」なんてことは言えないのだけど、誰しもが小さい頃に必ず持っていた“ある”感覚を思い出すと「美しさ」という表現を幾ばくかは共有できるのかな、なんて考えたりしています。
その“ある”感覚とは、
- 男の子であれば「かっこいい」
- 女の子であれば「かわいい」
です。
僕の例で恐縮ですが、僕が幼稚園の頃、その当時流行っていた『聖闘士星矢』のおもちゃ(フィギア玩具)が好きで好きでたまらなく、飽きもせず1日中遊んでいました。
今思い返してみると、僕はその聖闘士星矢のおもちゃを世界一「かっこいい」と感じていて、その「かっこいい」と思うもので遊んでいた時ってすごーく楽しかった、という記憶しかないんですよね。
まー今でも覚えているくらいですから、よっぽど楽しかったのでしょう(笑)。
そして今の僕が当時の僕を客観的に見ると、「めちゃめちゃ人生充実してんじゃんこいつ」と思うわけです。
こんなリア充な経験を(笑)あなたも幼少期にしてませんか?
「ないよー」と言われたとしても、それは単に忘れているだけなのだと僕は思います。
だって子供って遊ぶのが仕事ですよ。だから絶対にしているはずなんですよ。他の世界が消えちゃうくらい夢中になって遊んだ経験を。
そしてあなたが何かに取り付かれたように夢中になって遊んでいたとき、そこには「かっこいい」「かわいい」という脇役が必ずいたはずです。
(脇役が必ずしも物理的なモノではないかもしれません。いつもあなたと一緒に遊んでいた幼馴染が脇役ってことも十分にありますよ)
この脇役である「かっこいい」「かわいい」と「美しい」が近しい感覚だと僕は考えていて、今回のテーマである「美しい靴」を、あなたの幼少期と重ね合わせてもらいたいと思うんですよね。
あなたが「かっこいい」「かわいい」と感じる靴(=脇役=美しい靴)は、あなた(=主人公)の人生を楽しくさせてくれる名脇役であるはずなんですよ。
だから、その名脇役に喜んで登場してもらいましょうよ。
だって拒む理由ないじゃないですか?
でもここで登場するのが「敵」なんですよね。
困った奴ですが、これも当然です。敵が出てこないストーリーなんてありませんから。
そんな名脇役の登場を妨げる敵は多くの場合「金銭面」です。
仮にですが、ビスポークで靴を作りたいと思ったとき「35万円」という敵が現れまたとします。
月給手取り20万円、貯金100万円、30歳の主人公にとってはなかなかな強敵・・・
ちょっと待って下さい!
その敵はあなたにとって強敵でしょうか?
「350万円」だとしたら強敵となるかとは思いますが、「35万円」なら倒せない相手ではないと思うんですがいかがでしょうか。
まー金銭的な敵の攻略法は人それぞれ置かれている環境が違いますので、ここではなんとも言えませんし、敵が必ずしも金銭面とは限りませんからね。
ただこの状況に関して参考になる普遍の法則があります。
- 人生には色々な敵が出てくるが、どの敵も主人公(=あなた)を成長させてくれるものである。(cf.神話の法則)
主人公(=あなた)がその物語(=人生)の中で必要だと感じた脇役(=美しい靴)は、主人公を新たなステージへと押し上げ、新たな物語を進む「きっかけ」となってくれます。そしてその新たな物語は今よりきっと素敵な場所であるはずです。
だって
- 美しい靴は、あなたを素敵な場所に連れて行ってくれる
のだから。
それではここまで読んでいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願いします。
2013年3月22日
山本 和広
コメント
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買いました。
よいお話をありがとうございました。
靴に対する考え方に(というより今まで考えても
いませんでしたが)、大きく影響を受けました。
ジョンロブ フィリップ2買ってみました。
これからが楽しみです。
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Re: 買いました。
>>1
コメントありがとうございます。
フィリップ2ですか!
ブラック? ダークブラウン? チェスナット?
どれも美しいですよね。
ジョンロブは一緒に成長するってのを
特に感じられる靴だと思います。
だって、エージングした革が放つあの艶。
漆黒というか深淵というか、、、
惚れ惚れしちゃうと思いますよ。
(フィリップ2はプレステージラインなので、、、
ほおずりしたくなっちゃうかも。笑)
ぜひぜひフィリップ2と
人生の道中をお楽しみ下さいませ。
ありがとうございました!
山本
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フィリップ2
確かに靴は、自分のプレステージをあげてくれます。スーツも同じです。私はハンツマンのスーツをこよなく愛しているのですがスーツに合う靴となるとなかなか見つかりません。先日娘の、結婚式に合わせてモーニングをハンツマンで作ったとき、靴に悩みまして結局フリップ2となりました。
フリップ2は、たたずまいが違います。