猩猩(しょうじょう)と浮気心
こんにちは。
山本です。
猩猩(しょうじょう)
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、猩猩とは中国に由来する伝説上の生き物の名前です。なまはげとか人魚とかそういった生き物と同じ扱いです。ちなみにWikiに掲載されていた写真はこちら。
(wikipedia「猩猩」項目から写真転載)
まっ伝説上の生き物なので各地方によって様々な言い伝えがあるのですが、猩猩をざっくりまとめるとこんな感じです。
- お酒好き(ショウジョウバエはお酒に集る習性から猩猩になぞらえて名づけられました)
- 海に住む
- 人間に憧れている
- お酒をせがむ
- お酒をくれないと船を沈める
こんな言い伝えがある猩猩ですが、その一つにこんな説話があります。
お酒をあげないと船を沈める猩猩を何とかして退治したいと考えた村人は、浜辺に酒樽を複数用意した。お酒を飲んで陽気になった猩猩が踊りだす際に履くであろう草鞋を酒樽の下にセット。その草鞋は足を通した瞬間に捉えられるように罠が仕掛けられていた。
ただ猩猩も人間に憧れているだけあってバカではない。そんな罠は直ぐに見破るのだが・・・
- 猩猩A:「人間もバカだな。罠だって直ぐにわかるように酒樽の下に草鞋を置きやがって」
- 猩猩B:「でもお酒は飲みたいよな?」
- 猩猩C:「ちょっと指でなめるくらいだったらいいんじゃないか?」
- 猩猩A:「そうだな。ちょっとだけならいいよな」
猩猩達は指でお酒を舐めはじめた。
- 猩猩A:「ほら、お酒を指で舐めても罠には引っかからなかったぞ」
- 猩猩B:「じゃ柄杓で飲んでも大丈夫じゃないか?」
- 猩猩C:「だよな!柄杓持ってくる」
猩猩達は柄杓でお酒を飲み始めた。
- 猩猩A:「やっぱり俺たちはこんな単純な罠にはひっかからないな」
- 猩猩B:「だよな!」
- 猩猩C:「じゃ今度は樽ごと飲んじまおう」
猩猩達は酒樽ごと飲み始めた。
- 猩猩A:「いや~酒はうまいなー」
- 猩猩B:「もっと陽気に飲もうぜ!」
- 猩猩C:「そうだな。踊らなきゃいいだけし」
陽気になった猩猩達は歌いながら飲みだした。
- 猩猩A:「歌を聞くとやっぱり踊りたくなるよな~」
- 猩猩B:「そうだな!」
- 猩猩C:「その場で踊るだけなら草鞋は必要ないだろ?踊ろうぜ!」
で、ご想像通り結局は人間が仕掛けた罠にはまってしまった猩猩達でした。ちゃんちゃん。
さて、罠が仕掛けられているという事を知りながら、お酒が飲みたいという欲望に負けてしまった猩猩達。この説話は、人間は猩猩とは違い、欲望を我慢ですることができる、ということを伝えたい場合などに用いられます。
これはダメだとわかりつつも、ちょっとずつちょっとずつ行ってしまっている点なんて、あなたも少しだけ共感できるのではないでしょうか。
身近な例えだと「浮気」ですかね。
- 初めは、メールのやり取りだけ。
- メールだけじゃなく電話でもちょっと話したい。
- 食事するくらいなら。
- 手を繋ぐくらいなら・・・・
とほんのちょっとの積み重ねが欲望の抑止力を弱めていってしまいます。
あなたも先ほどの猩猩の説話を読んだ時、「罠を知っているのにかかるなんてバカじゃない」と思った事でしょう。
ただ決して人事ではないですよ、という事をお伝えしたく、猩猩のお話をさせていただきました。
ありがとうございました。
山本 和広