勇気と覚悟とイタリア一人旅 

先日のイベントにはイタリア、特に南部イタリアを
こよなく愛する方が参加下さったのですが、その方から
こんなメールを頂きました。

「テーマのある、ディスカッションで
 脳のインナーマッスルを、久々に使った感じ。

 これってなにかと似てると
 しばらく考えたのですが、

 ひたすら、その時その時、
 自分の使えるイタリア語だけに
 すべてを置き換えて、一人旅をしていく、
 あの感じに似ていました。

 どれだけヘボイ表現しかできなくても、
 そしてヘボイ理解しかできなくても
 自分の手持ちカードの乏しさに
 とほほと思っても、くそーと思っても。

 その現実から身をかわすことなく
 球を投げ続ける感じ。
 相手の球を受け取って、何度でも拾って投げ続ける、
 その感じです。」



おはようございます。山本です。

こちらのレポートにも書きましたが、
3時間半ノンストップで行ったディスカッション。

この方はそれを「脳のインナーマッスルを使った感じ」と
表現して下さいました。

そして、それが「イタリア一人旅に似ていた」とも。

言葉はおろか文化も考え方も何もかも違うイタリア。

誰一人として自分を知らない異国の地。

思い通りにいかないことが当たり前、
むしろへこたれることの方が多い。

でも、立ち止まれない。

立ち止まったらそこで旅は終了してしまうから。

ツアーでしか海外に行ったことない人にとっては、
味わったことのない感覚ですね。

この方は、何度もイタリアへ一人旅をしている強者ですが、
最後にこんな事を言って下さいました。

「地図が役に立たない「とほほ感」とも向き合う、
 これも「勇気」なのかなと。
 
 いずれにしても、最中はただ必死なだけですけど。」

勇気と覚悟

今回のイベントで用いた『嫌われる勇気』。

日本語が読めれば誰でも理解できるタイトルですが、
ちょっと冷静に立ち止まって考えてみると・・・

「勇気」って何なんでしょうね。

これは、ディスカッション中にも立ち上がった
命題の一つなんですが、


  • 「勇気」と「覚悟」の違い



を説明するのって難しい。

同じようなものと言う人もいると思うし、

全然別のものと言う人もいる。

はたまた、勇気は持てるけど、覚悟は持てない、
と言う人もいると思うし、その逆もある。

うーん・・・こんがらがってきますね。



ただ「勇気」という軸で『嫌われる勇気』を読むと

「結果を恐れずに前に踏み出す『勇気づけ』を持ちましょう。

 それには、トラウマを否定し、課題の分離を行い、
 他者貢献を行うことが重要です。」

となるですが、仮にタイトルを『嫌われる“覚悟”』としたら、

「結果を恐れずに前に踏み出す『覚悟』を持ちましょう。

 それには、トラウマを否定し、課題の分離を行い、
 他者貢献を行うことが重要です。」

となりますが、、、なんとなく後半部分に違和感を覚えますよね。

違和感があるということは、同じものとは言えない。

じゃあ何なんだ?

他者の存在、世界の存在

先日のイベントから自分なりに「勇気」と「覚悟」に関して
色々と考えてはいるのですが、今のところ僕の中では、


  • 勇気 : 他者(世界)の存在がある
  • 覚悟 : 自分のみで完結



という前提があるのかなあと薄ぼんやりとした感じになっております。

もちろん、これらは独立したものではないと思うし、
「勇気があるから覚悟できる」とか、「覚悟があるから
勇気を持てる」というような両輪でもあると思うので、
わざわざ分ける必要はないのかもしれないけれど、
敢えて分かるとこんな感じ。

と言うのも。

「覚悟」って、「悟りを覚える」とも読めるし、
意味的には「あきらめ」と言ったニュアンスも含まれる。

そう考えると、「自分だけ」で完結するものかなーって。

逆に、イタリア一人旅の方のコメントにもあったように、

「勇気」には、

「相手の球を受け取って、何度でも拾って投げ続ける」

と、他者(世界)との関係が前提とされているように
思えるのです。

「覚悟を持て」って言われてもさ・・・

よくビジネス系の本や、自己啓発系の本で言われる
「覚悟を持て」とか「覚悟のススメ」とかも、

先程の文脈で言えば、
「自分だけ」で完結しなきゃいけないものになるのですが、、、
どうです?持てます?

「覚悟がないと何をやってもダメだから、
 覚悟を持たなきゃ、覚悟を持たなきゃ・・・
 でも覚悟ってどうやって持ったらいいの?
 あー覚悟が持てない私はダメなんだー」

というループに陥るかは人それぞれですが、
「覚悟を持て」と言われれば言われる程、
「覚悟が持てない」となる気がするのです。

「ピンク色の像を想像しないで下さい」と言われると
想像しちゃうように。

他者(世界)の存在があるからこそ、勇気も覚悟も持てる。

「環境が全てにおいて先行する」

ってよく言われるじゃないですか。

これってある意味
「勇気を持たざるを得ない状況があるから覚悟できる」
とも言えると思うのです。

「山本くん、福岡で50人くらい集まるセミナーがあるから、そこで商品説明してきて」

入社1年目の僕への上司命令。

いやー正直ビビりましたよ。

人と話すのは嫌いじゃなかったけど、それはあくまで
おしゃべりレベルだし、無論、人前で話すのとおしゃべりとでは
別次元な話ですからね。

なのにいきなり50人!

準備まで1ヶ月くらい猶予があったのに、セミナーを考えるだけで
じっとりと手や脇に嫌な汗をかきましたし、セミナーが近づくにつれ
逃げ出したい気持ちがわき起こる、でも逃げられない現実に対して
憂鬱になる、そんな日々だったのを今でも覚えています。

でも環境が設定されてしまったのでやるしかありませんでした。

「嫌だけど、とりあえず頑張ろう」とある種の「あきらめ」もしました。



もう9年くらい前のことですが、今改めて考えてみると、

否応なしに設定された「やるしかない」環境によって
「勇気」が持てて、それによって「頑張ろう」という
「覚悟」をすることができた。

こんな経験もあってからなんでしょう、僕は「勇気」と「覚悟」を
(今は)こう捉えるに至ったわけです。


  • 勇気 : 他者(世界)の存在があってこそ持てるもの
  • 覚悟 : 自分のみで持てるもの

と言うことで、まずは・・・

「勇気」を意識してみてはいかがでしょうか。

イタリア一人旅の方のコメントにもありましたが、

「思い通りにいかない現実に目を背けることなく、

 何度も世界に対してボールを投げ続け、

 幾度となく相手のボール取り続けようとする努力をする。」

まずはこんなイメージで。

やっている最中は「これが勇気かあ」なんて思えなし、
思う必要もないけれど、こんな弛まぬ努力を行うことが
「勇気」と「覚悟」に繋がるのかもしれませんからね。



それでは、ここまでありがとうございました。

山本



追伸
また近々にでもイベントを開催したいと思いますので、
脳内イタリア一人旅をご体験されたい方は、是非ご参加下さいませ。

詳細が決まりましたら、ご連絡させて頂きますね。

追伸2
先日開催したイベント後に書いたレポートは以下ページアップしておりますので、
ご興味がありましたらダウンロードして下さい。

無料レポートはこちらです。

コメント

  • はじめまして。

    はじめまして。初めてコメントします。
    覚悟と勇気 と調べたら山本さんのブログにたどり着きました。
    なんとなくですが、腑に落ちました。なんとなくですがしっくりきました。
    これからのワタシに必要であろう勇気が手に入りそうだと感じました。ありがとうございます。

    山本さんの活動や人物を知りたいのですが、ブログばかりでてくるのでまだわからずにいます。
    どのようなイベントしてるんだろう。。。

    これからブログたくさん読んでいきます。
    そしたらわかるのかな。


  • Re: はじめまして。

    >>1

    並木さま

    こんにちは、山本です。

    コメントありがとうございます。

    「なんとなく腑におち、なんとなくしっくりきた」

    とのことでよかったです。

    この記事は『嫌われる勇気』というアドラー心理学について書かれた本を軸に書いたものです。

    かなり売れた本なので、並木さんも読まれたかもしれませんね。

    「売れた」ということは、それなりに「受け入れられた」ということなのですが、僕的には少しひっかかるところがありました。それは、

    「この本を読んだだけで実際に『嫌われる勇気』を持てるのか?」

    ってこと。

    いや別に『嫌われる勇気』を批判している訳じゃなくて、僕自身アドラー心理学を知ることで多くのことを学べたし、日常生活にも活かす視点を得られたので勧めたい本ではあるのですが、この本を読んだ人の多くが「いいこと知れたなあ」で終わってしまう気がしたのです。

    と言うのも、アドラー心理学は個人心理学と言われ人間の心的現象を「責任性」という範囲で捉えているのですが、僕は素朴に「人間、そんなに強くないよ、アドラーさん」と思ってしまったのです。

    (もちろん、強くないからこそ強くなるために頑張らなくてはいけないのは当然なんですけどね)

    そんな背景から、アドラー心理学を現実的に実践する場としてイベントを開催してみたり、この記事を書いたりしたわけです。

    この記事に書きました「他者の存在」は、僕の中では大きなテーマです。

    僕らは孤独と感じることは多いかもしれないけれど(実際に孤独な存在なのかもしれないけれど)、他者がいてこそ存在する(できる)のも僕ら人間であると思うからです。

    ・・・ちょっと堅苦しくなっちゃいましたね(笑)。

    まあ何にせよ、『覚悟と勇気』を調べていた並木さんのお役に少しでも立てれてよかったです。

    もし何か聞きたいことなどございましたら、ブログのコメント欄でも、「お問い合わせ」からでも何でもよいので遠慮せずにご連絡下さいね。

    ではでは。

    ありがとうございました!

    山本



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