フランシス・アリス展はおとぎ話

こんにちは。
山本です。

昨日、友人に教えてもらった『フランシス・アリス展』に行ってきました。

フランシス・アリス展

アーティストとは面白いものです。

氷を溶けるまで押し続けるフランシス・アリス

これは、フランシス・アリス展 第1期メキシコ編の作品ですが、朝から晩まで氷を溶けるまで押し続けているフランシス・アリスさんです。

何がしたいのかわかりませんよね?

でもきっと彼なりに伝えたいものがあるのでしょう。

それは、会場内で放映されていたキュレーターとの対談でも伝わってきます。その対談で、彼はこんなことを言ってました。



「作品には明確に2つの意味がある。

 一つは、即時的な作品。これは作品をみた瞬間に受け取るもの。

 もう一つは、おとぎ話のようにうちに持ち帰って始まるもの。」


みょーに納得できました。

それは、今回の目玉作品に『川に着く前に橋を渡るな』

川に着く前に橋を渡るな

ってのがあるんですが、これはジブラルタル海峡をスペイン側とモロッコ側から子供達が、帆をつけたサンダルを片手に一列になって泳いでいき、水平線で交わるという作品(プロジェクト)なのですが、、、

結局は繋がらないんですよね。

「じゃ失敗じゃん」と思う方もいるかもしれませんが、繋がる、繋がらないってのは正直どうでもよく、彼の『川に着く前に橋を渡るな』を見た人は、後に色々と考えると思うんですよ。

もしかしたら「考える」ではなく、「思い出す」の方が近いかもしれません。

もちろん、見た人、見た人、その「思い出す」内容は違うと思います。

「貧困」「移民」「密入国」「ヨーロッパ」「アフリカ」「政治」「経済」「外交」「遊び」「価値」「人生」「夢」

なんにせよ、フランシス・アリスさんの作品が僕らの手に渡って、そこからおとぎ話のようにそれぞれのストーリーとして繋がっていく。

面白いですよね。



僕らは「結果」ばかりを追い求めすぎなのかもしれません。フランシス・アリスさんの言葉で言えば「即時的な作品」ばかりを気にするあまり、その後の「おとぎ話」にまで気が回らない。

すぐに出る結果なんて正直くだらないものが多いわけですが、そんなものばかりにエネルギーを割いた結果、もっと大切な、例えば人間関係に注ぐエネルギーがない。

だから、無関心にならざるを得ない。

だから、無気力にならざるを得ない。

だから、無表情にならざるを得ない。

僕がフランシス・アリス展で受け取ったおとぎ話は、現代の怖さだったのかもしれません。



そんなフランシス・アリス展は9月8日までです。もし興味が湧いたなら行ってみてはいかがでしょうか。あなたがどんなおとぎ話を受け取るのか僕も楽しみです。

フランシス・アリス展@東京現代美術館

ではでは。

ここまでありがとうございました!

山本



追伸
東京現代美術館のすぐ横にある木場公園の夏の夕暮れ。

木場公園

汗だくでサッカーをする少年を30分近く見てしまいました。

彼らは「結果」ではなく、「過程」を楽しんでいるように見えて、美しいなあーって。

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