ナポリ仕立て ~奇跡のスーツ~
こんにちは。
山本です。
先日大阪に行った際に、一緒にいた大阪の知人から「堂島ロール買って行けば?」とのご提案。
(たまたま堂島周辺を歩いていたので)
堂島ロール?
何のことだかさっぱりでしたが、最近巷で流行っているロールケーキとの事。ここ数ヶ月べたにマリアージュ・フレールの紅茶にはまってまして、紅茶といえば甘いスイーツが定番。ということで美味しいのなら買いましょうと、数あるロールケーキの中のど定番「堂島ロール」を購入しました。
数年前までは甘いものを自ら購入するなんて想像も出来なかったんですが、最近はちょくちょく買っている自分にびっくりです。今ならダイエットできない女性の気持ちに共感できます(笑)。だってスイーツって美味しいだけじゃなく、なんか心まで明るくさせてくれるんですよね。見た目も味も含め総合的に。なので、自然と場が明るくなる。「俺は甘いもの苦手だから」なんて斜に構えないで、スイーツの世界に飛び込んでみたら、それはそれで新しい発見があると思います。
そして、家に着くや否や、こんな幸せな食べ物を提供できる職人さんに敬意を表しながら、堂島ロールを頂きました。生クリームが苦手な人でも、さっぱりと食べられるロールケーキだと思いましたね。わざわざ大阪に行って買わなくてもネットで調べたら日本橋三越などで買えるみたいなので、興味がある方はいかがでしょうか。
ちなみに知り合いの母親に、
「最近ロールケーキ流行ってるみたいですよ」って言ったら、
「あんた遅すぎるわよ。ロールケーキなんてちょっと前に流行ってて、コンビにでも色々出してたわよ」って・・・。
そんな流行に鈍感な男、山本がお届けする本日の読書考察はこちらです。
ナポリ仕立て ~奇跡のスーツ~
片瀬平太・池田哲也 著
緑川智洋 撮影
集英社
所謂ムック本形式である本書ではありますが、コラムが62章ありますので結構なボリュームです。ナポリのスーツに興味があるという人なら一気に読み終えてしまうでしょうし、スーツ自体に興味がなくても、ナポリスーツの伝統・ルーツに興味がある人にもお勧めの1冊です。
そんな「ナポリ仕立て ~奇跡のスーツ~」を読んで、僕があなたに伝えたいことは以下の2つです。
1.スーツの存在価値を考える。
そもそもなぜスーツを着るのか?
「仕事だから特に考えず着ているだけ」
「学生の延長線上で制服感覚で着ているだけ」
「そんなの考えたことがない」
「着てればいいんでしょ?」
「私服じゃ働けないしね」
特に理由もなくスーツを着ている人が多いと感じる今日この頃。スーツの存在価値を再確認することによって、場違いな着こなしをすることがなくなる。
2.時を越える力
スーツが未だに「装い」というジャンルの中で淘汰されず、今も他のクロージングにその座を譲らない理由の一つが「時を越える力」が備わっているからである。その時を越える力を我々個人の文脈で見つけるとどういったことが起こるのだろうか。
それは、あなたの人生への活力へと繋がる。
1.スーツの存在価値を考える。
スーツ
男を一番かっこよく表現することが出来る服装だと僕は思います。
というのも、女性ってお洒落すればするほどレベルアップしていくものですが、男ってお洒落すればするほど、ある一定レベルと越えると“イタく”なるんですよね。ある特定のコミュニティでは評価されるのかもしれませんが、どうしても「それって・・・」という評価が一定以上出てしまう。
その一定レベルをも容易に超えさせてくれるものが「スーツ」であるわけです。
シャツを着て、ネクタイを締めて、ジャケットを着る。こんな面倒な服装が未だに男の装いの中心に位置していることを考えると、スーツは時代を超えた魅力を僕らに提供してくれているものだと言えると思います。
ではその魅力の一つはなんなのでしょうか?言葉で説明するよりもこの写真を見てもらえれば一目瞭然かもしれません。
(「スーツの存在価値(P.10-11)」から写真転載)
そもそも、スーツを着る時ってどんな時ですか?
商談、面接、結婚式、デート、プレゼン、合コン、卒業式、入社式・・・、まっ具体的なシチュエーションを考えると限がないので、一段抽象化してみましょう。ズバリ、
自分を立派に見せたいとき
と言えると思います。上記の写真を一目見ただけでもおわかりのように、シャツ姿より、スーツ姿の方が断然印象がよいかと思います。これが今でもスーツが男性の服装の中心にあり、他の服装にその座を奪われない一つの理由です。
ここで、スーツの存在価値を違う視点で考えてみましょう。
「スーツとは自分を立派に見せたいとき」に男を最上級にかっこよく印象付けしてくれる装いですが、スーツにもその環境が要求するスタイルがあるのは当然です。
入社面接を受けに行く学生が着て行くスーツと、合コンで着て行くスーツは、目的が全く違うわけです。
「当たり前でしょ?」
とあなたは思ったかもしれませんが、この当たり前が当たり前でない人がここ最近かなり多いと、僕は感じます。
例えば、先日ある人が僕に会いに来ました。一応肩書きは「代表取締役社長」と名刺には書いてある人です。ですが、どう見ても社長に見えない。というのも、新卒で2~3年働いて、少し給料が上がったから今流行の細身のスーツを買おう、的な感じのスーツでしたらからね。
いや多分脳みそが腐ってて、「細身でシュッとしているスーツってかっこいいよね~」とか言っちゃう20~30代女性からアンケートなど取れば、9割の確立で「お洒落」票が入るのかもしれませんが、いやいや。ここは合コンの会場じゃないですよ、と言ってやりたい気持ちでいっぱいでした。
ちなみに最近の日本人サラリーマンを他の国からみると「日本人はゲイが多いのか?」という疑問を持つそうです。
というのも、先ほどの社長の例じゃないですが、最近流行りの細身のスーツ。あの着丈が短くおしり丸出しのスーツです(あなたも街でよく見かけるでしょ?)。時代には常にファッション(流行)があるものですから、それ自体を否定するつもりは毛頭ありません。が、実際そんな着丈の短いスーツ(ジャケット)を着るのは海外ではゲイくらいしかいないわけです。だっておしりが丸出しなわけですから。だから、「ゲイなのか?」という疑問がでるというわけです。
話の脱線ついでにもう一つお伝えするとすれば、「着丈が短い=女性の服装」という象徴ですからね。
ちょっと前、草食男子、なるものが流行っていたみたいですが、服装の流行という視点でみてもユニセックス化が背景にあるのだなぁ~と考えられますよね。
で、話を戻すと。
スーツとは男の装いのトップに君臨する服装ではあるが、あなたが置かれている環境を無視したスタイルのスーツを着てしまっていては、スーツを着ている意味がないわけです。
周りの皆が流行に流されていたとしても、そもそもの「スーツの存在意義」と「その環境」を忘れないで欲しい。それがスーツを着こなすという事なのだから。
2.時を越える力
写真の上着を見ていただきたい。これは'83年にロンドンハウスで、ある顧客のために仕立てられたものだ。その当時は、アルマーニに代表されるデザイナーたちの台頭によって既製服が隆盛を極めていた。この上着も当時の流行の影響を受けており、Vゾーンは深く、ラペルは広く、そして肩幅も身幅も広い。現代の流行とは対極的ともいえるデザインなのだが、これが果たして流行遅れだから着られない服だろうか。最上のコットンのツイルをナポリのサルトが最高の技術で仕立てた、この上着の持つ“モノの力”は易々と流行という壁を越えてみせる。形は古くても今着れば、新しい美しさがある。これぞ様式やスタイルだけではない、クラシックの姿だといえるだろう。 (「時を越える力②(P122-123)」から引用)
時を越えて支持されるもの。
スーツだけに限ったわけじゃないですが、そこにはある種の「美」が存在しているからこそ支持されるのだと思います。僕らは美しいものが好きですからね。それは主観判断による「美」でも、客観判断による「美」でも構いません。醜いものよりも美しいものが好き。これは僕ら人間の根源欲求の一つだと、今の僕は考えています。
じゃその「時を越える力」なるものをどうやったら探し出せるのか。
なんか難しそうですが、別に難しく考える必要はないと思います。あなたの好きな事、ジャンルから掘り下げていけば良いだけですから。
だって、この「ナポリ仕立て ~奇跡のスーツ~」を書いた2人は、スーツが好きだから、この時代を超えるスーツの良さがわかるわけです。逆に、スーツになーんの興味もない人なら、このジャケットが時代を越える力を持っているかなんてわからなくて当然です。
※後述しますが、「なんかよいスーツである」というオーラは感じられると思います。
別の例で言えば、以前ポルシェの日常考察記事を書いたことがありますが、例え車好きな方でも水冷ポルシェ(911)に興味がなければ、水冷ポルシェが時を越える力を持っているなんて理解できないわけです。「なんで20年も前の車がそんなに高いんだよ!」と。
当たり前と言えば当たり前ですが、やっぱり有象無象の世の中で、誰しもに共通した「時を越える力」を表現したモノ(※「モノ」と書くと「物体」的なイメージが先行しますが、あくまで「時を越える力」が備わった全ての事象というニュアンスで捉えて下さい)はないわけです。
※僕らに共通した普遍の「美」という概念はここでは置いておきます。
逆を言えば、「時を越える力」を持ったモノは、あなたの中にある
とも言えると思います。あなたがその意識を持つだけで、あなたが普段接している環境の中から時を越える力を発揮しているモノを探しだせるはずです。
冒頭の「堂島ロール」じゃないですが、もし仮にあなたがスイーツ好きで、大阪に行った際に必ず「堂島ロール」を買ってしまうなら、堂島ロールはあなたにとって時を越える力を持ったスイーツなわけです。
ちなみにこの時を越える力を持ったモノに出会うと、金銭面でも得をします。よくいう「安物買いの銭失い」の逆と考えて下さい。あなたが魅力を感じているモノは、その後も大切に扱いますから、必然的に節約できるというわけです。
最近の僕の例で言えば「財布」ですかね。今僕が使用している財布は、色・艶・形、どれをとっても(僕が勝手に)時を越える力を持っていると感じることができる財布です。昔はありえなかったですが、財布を定期的にメンテナンスしてますからね。乳化性クリームなんて塗っちゃってね。
そして何より、時を越える力を持ったモノは、そのオーラがあなたの周りに伝播します。例えば先ほどのジャケット写真。スーツに興味がない人でも何かしら感じるものはあったはずです。その多くはマイナスのイメージではなく、プラスのイメージであったと思うのですが、これがオーラが伝播する、という事だとお考え下さい。
このオーラはあなたの人生の活力となります。だって、かっこいいスーツを着て、仕事も充実、女性からもモテモテ。ヨレヨレのスーツを身に纏った疲れたサラリーマンでは到底醸し出せないオーラですからね。
時を越える力
を持ったモノはあなたの興味がある環境から探すことができ、それを探すことが人生の楽しみにも繋がり、そして見つけた後もその楽しみはあなたの成長の大事なツールとなる。
これが2項目で僕があなたに伝えたい事です。
以上、本日の読書考察でした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
2011年7月9日
山本 和広
読書考察
- スーツは男を最上級にかっこよく魅せる装い
- 「スーツの存在意義」と「その環境」をセットで考えることが重要
- 時を越える力はあなたの人生の活力となる。